トモダチ

1/1
4人が本棚に入れています
本棚に追加
/11ページ

トモダチ

 それから朝倉くんはすっかりとアタシに懐いてしまい、他の友達も作らずにベッタリになってしまった。 「アキラちゃ──佐藤さん、見て」  授業と授業の間の10分休憩、彼は筆箱の中身をこっそりと見せてくる。そこにはユニコーン柄で淡いピンク色をしたシャーペンが入っていた。本来男子向けでなはないデザインのそれは、朝倉くんなら持っていてもなんの違和感もなかった。 「かわいいね」  アタシにはかわい過ぎて無理だけど、とは言わずに、彼が求めている返答だけをする。すると朝倉くんはとびきり愛らしい笑みを浮かべた。  かわいくて眩しい笑みに癒されると同時、何故だか胸がチクリと痛む。この痛みはなんだろうかと首を傾げた時……。 「なぁ、お前らって仲いいよな。もしかして付き合ってんの?」  そう言いながら私と朝倉くんの前にやって来たのは、ニタニタと下品に笑うニキビ面の男子生徒だった。  中学に入って、異性と一緒にいて話をしていたら直ぐに「付き合ってるの?」と聞かれる様になった。多分、なのだろうけど……うっとうしいな。  朝倉くんの為にはここはキッパリと否定しなくてはと思い口を開いたが──。 「違うよ。佐藤さんは親切に僕へ色々と教えてくれるなんだ」  先に朝倉くんに言われてしまい、口を噤む。  友達、かぁ。まぁそれが一番しっくりとくる関係だ。だけど、だけどなんだが……胸の痛みが増した気がした。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!