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河川敷ってさ普通はヤンキーとか野球少年が走り回っているところじゃん。
「今日の鯉は痩せてますねー」
決してさっきまで生きていた鯉をバリバリ音を立てて食べている女の人がいる場所ではないと思うのだけど。
「次はもっとふっくらした鯉を狙いましょう」
ひとり頷くその人かどうかわからないものは満足そうに周りを見渡して俺と目があった。
「キャアッ」
と絹を裂くような声をあげて、彼女は川へ飛び込んだ。近所では泥川と称されている川だ。普通の人はそんなところに白い尾鰭を上げて飛び込んだりしない。白い尾鰭は見る影もなく夜の闇と泥に隠れた。
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