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殺すしかない
沢木美玲25歳は愚かな女だ。その障害を殺すという選択肢を選んだ。
人はその者をどれだけ嫌ったとしても、殺人という方法で排除する事をしない。だけど仕方が無いのだ。
美玲は幼少からネグレクトによって、大抵の者が経験する事を殆ど知らずに育ち、若さに貪る男たちからの施しで生きて来た。
美玲の中で生まれた命も何度流して来ただろう。
もしかしたら今回殺人という方法を選んだのも、そんな事を繰り返し命の尊さに麻痺しているからかも知れない。
そんな美玲を受け入れる男性が現れた。名は正幸(マサユキ)、30歳。
美玲はこんな自分を受け入れてくれた正幸と永遠に過ごしていきたい、ただそれだけを願っている。
だがそこには大きな障害がある、正幸の母、政子68歳。
高齢出産、その後すぐに夫は他界し一人で育ててきた目に入れても痛くない息子。
そんな息子が九九も言えず、織田信長も知らない女と結婚すると言い出した。
必死に説得したが、息子はあの女のどこがいいのか、結局押し切られてしまった。
それでもやはりあの女とはやっていけない、政子は美玲を本気で追い出すつもりだ。
美玲もそれは重々感づいている。政子と上手くやっていく方法なんてない。
でも正幸と別れるなんて絶対に嫌だ・・・だから殺すしかないのだ。
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