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クロ
茜side
櫻田奈紡。
私の幼馴染み、兼彼氏。
ナツは明るくて、かっこよくて、可愛い。
遠くを見透かすような色素が薄い瞳は、ガラス玉のように綺麗だ。
だからモテるし、彼女としては大変だけど…………、
私は、ナツのことが大好きだ。
ピィンポォン~♪ ガチャ
「クロ先輩っ!おはようございますっ!」
「………はぁ?てかクロ先輩ってなんだやめろ」
「嫌ですよ。ねぇナツ?この人が昨日のクロ先輩だよ」
「あ、ども。櫻田奈紡です」
クロ先輩は、私達を見つめて言った。
「ちょっと顔が良いだけで生きてきた奴と、モテまくってた奴だな」
「ん?なんて言いました?ん?」
「何も言ってない」
「顔が良いだけで生きてきたとか、先輩そのものじゃないですか」
「あぁ?」
「じゃ。寝起きみたいなんで失礼しますね。私はナツにクロ先輩紹介したかっただけなんで」
「………クロ先輩はやめろ」
「黒木の黒でクロ先輩です。いいじゃないですか。では」
ガチャ
「ほら、面白い人だったでしょ?」
「まぁうん。入学式でぶちかましてたしね」
「あれは確かに……面白かったわ」
「じゃあ行こうか」
「あっ、クロ先輩?」
「あのなぁ、俺だって暇じゃねぇんだ。てか学校まで付きまとってくんな」
「副生徒会長は一番暇そうですけどね」
「じゃあ一回やってみろって話なんだよ。俺が生徒会長になったらお前ら生徒会に入れてやるよ」
「えー?そんな権限あるんですか?」
「そうだな、新入生は知らねぇよな。朝高の生徒会は、生徒会長・副生徒会長・書記・会計に分かれてんだ。生徒会長は、その年の書記・会計を指名できる。まぁ生徒会のメンバーをつくれるってことだな」
「へぇー、じゃあ黒木先輩が僕らを書記と会計に入れてくれるんすね」
「あぁそうだ、感謝しろ。内申つくしな」
「マジですか⁉約束ですよ、クロ先輩」
「やっぱ今のなぁーーーし」
「えぇっ!!?酷いですよ先輩‼ねぇ⁉先輩⁉」
「じゃぁな、結城」
「え~~~!!?待ってくださいよ、待ってっっ!!」
「よし、逃げようか!まわりの目線がずっと痛い」
「えっ?………あぁ、そういうことね。よし逃げよう」
「………ナツ。クロ先輩ってさ、本当に顔だけで生きてるよね」
「ね。スカウトとかされたら、あ?んなことするわけねぇだろクソがとか言ってスカウトマン跳ね返しそう」
「分かるわぁ~」
「性格終わってるけど、顔で全部カバーできるんだろうね。得だねぇ」
「はは」
冴玖side 帰宅後
………………
「はぁ」
いつもいつも、本当に視線が痛い。
そんな、最初からこんな性格じゃなかった。
寄ってくるなというそういう、棘。
親は離婚、親戚に引き取られたけど結局無理言って一人暮らし。
…………僕は、最低だな。
色んな人達に迷惑かけて。
色んな人達に寄って来るなと言って。
親戚には、何か趣味をつくったらどう?なんて言われたけど。
趣味と言っても、ヘッドホン付けて音楽を聴くぐらいだろうか。
演技は得意だ。常日頃からやってることだし。
最近は、本当に何をすればいいのかが見えていない。
自分のするべきこととは?
自分だけができることとは?
自分の生きがいとは?
「そっか。病み期かぁー…………」
そこの。そこのあなたは、病んだことはありますか?
僕はあります。というか、今実際病み期ですし。
病むって、辛いししんどいですよね。
重症だったら不登校になるし、違う方向にも「病」みますし。
僕はいつも重症ですね。一人になりたいんですよね。
「一人にさせてくれ?そんなことほざいてんじゃねぇよ」
といつもなら言うところですが、そんなこと言いません。
自分の生きがいって、何でしょうか。
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