秘書として

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カフェは朝早くから開いているようで、モーニング目的のお客さんがチラホラと見受けられる。 とても落ち着いた色合いの空間は、時間の経過を忘れてしまいそうになるほど居心地がいい。 さすがお茶の老舗だけあって、緑茶や抹茶、ほうじ茶などを使ったスイーツも充実していた。 「甘味の方がよかったか?」 あまりにもメニューを凝視していたからだろうか、一成さんに気を遣われてしまって慌てて首を横に振る。 「いいえ。実は緊張しすぎて朝食抜いてきたんです。いただきます」 「そうか。なら毎日ここで朝食をとろう」 「……えっ?」 「ここで落ち着いてから業務に取り組む方が効率が上がるだろう」 「あっ、はい、そ、そうですね」 頷いて私はコーヒーカップに視線を落とした。 こんなことをされては心臓がもたない。というか、また私は一成さんを好きになってしまいそうな気がしてならない。だって、働き始めてからまだ二日目の朝だというのに、もうこんなにもドキドキしているのだから。 そんなソワソワした気持ちの私とは対照的に、一成さんはクールにコーヒーを飲んでいる。 きっと一成さんはなんとも思っていないんだろうな。 私と違ってぎこちなさだって全くないし、もしかしたら昔私が告白したことだって忘れているのかもしれない。 自分の元で働かないかとオファーしてくるくらいなのだから、私みたいにいつまでも過去のことを気にしたりはしないのかも。 まったく、自分の心が大騒ぎで忙しい。 もう社会人となったのだから、落ち着いた女性を目指そう。
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