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地上兵器を壊滅させると、もう一度ジャンプし、爆撃機を狙う。
兵士たちは休息中だったり、兵器の搬入を手伝っていたのだろう。反撃は皆無と言ってよかった。敵に襲われるとは予想もしていなかったに違いない。
爆撃機と戦闘機を破壊すると、ほぼ片が付いた。アカギル二機は地上兵器の爆発のあおりを食って燃え上がっている。最後に滑走路を造るときに使ったらしいブルドーザーなどの大型建設機械を破壊した。
バズーカ砲や対戦車砲を持った兵士たちがばらばらと建物から出てくる。
スカイは引くことにした。
その時、燃え上がる炎の中に少女の姿を見た。昨日助けた少女だ。
「やめろ!」
スカイは叫んだ。
兵士たちは攻撃を仕掛けてきた。
スカイは昨日と同じように少女の盾となってバズーカ―砲の直撃を受けた。
「やめろ! 子供がいる!」
スカイはマイクの音声を外部に聞こえるように切り替えて叫ぶ。
兵士たちの攻撃が止まった。
一人の男がバズーカ―でF104を狙ったまま走ってくる。
スカイはマシンガンの標準を男に合わせた。
「娘に手を出すな!」
男が叫ぶ。
「何が手を出すなだ! なぜ子供がこんな所にいる!」
スカイも興奮して叫ぶ。
男はF104の前で立ち止まり、バス―カーを下した。スカイに少女を傷つけるつもりがないことがわかったのだろう。
「私の子だ。他に身寄りがないから一緒にいる」
スカイのF104を見上げて男が言う。
「バカなことを」
スカイはコックピットで呟いた。
周りの兵士たちは武器を構えたままF104の足元に集まってくる。少女は父の元に駆け寄り、しがみ付いた。
「貴様が来なければここは安全な場所だった」
「身勝手なことを言うな」
「ならばこの地球上で安全な場所があるというのか」
「あるさ。少なくともここより安全な場所はいくらでもある」
「この子を一人で放り出してはおけない」
「そんなことは言ってない」
「私といることが、この子にとって幸せなのだ」
「それこそあんたの身勝手だ。あんたが死んだらどうする? 戦場で身寄りのない子を飢え死にさせるのか?」
「それくらいのことは考えている。貴様にとやかく言われることではない」
二人は言い争った。それは一種異様な光景だった。燃え上がる戦場の中で一人の兵士とFマシーンが口喧嘩をしているように見えた。
「ジョン、どうだ、応援はいるか?」
不意に味方からの無線が入った。
「いえ、敵兵力を壊滅しました。これから帰還します」
スカイは敵基地の状況が詳しくわかるように頭部カメラをぐるりと旋回させて周りの状況を映す。モニター映像は記録されているから、基地に帰って状況分析をするためだ。
「しっかり子供を守ってやりな」
スカイはそう言い残し、F104の出力を上げてジャンプした。数発のミサイルが後を追う。
しかしスカイは空中で巧みにF104を操作して全弾をかわし、森の中に消えていった。
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