その枷は、愛という名にも似て

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「きゃー! 佳乃、久しぶり!」 待ち合わせの店の前で佳乃のことをそう言って出迎えてくれたのは、幼馴染みであり、高校の時の仲良し四人組の一人でもある理沙だった。佳乃の胸がどきんと鳴り、腕を広げてハグしてくる長身の理沙を受け止めて、支えた。 「理沙、相変わらず綺麗ね。バリバリのモデル現役って言うのも頷けるわ」 「あ、雑誌見てくれてる?」 「時々よ。私なんかには似合わない服ばっかりだもの」 「そんなこと言わない! 佳乃だってちゃんと手入れすればきっと美人なのに~」 んもう! とじれったそうに言う理沙は、明るい髪色に、白い肌、大きな目は色素が薄めで、もしハーフだと言われても頷けるほど透き通っている。形のいい唇はヌードピンクのリップで彩られていて、出会った幼い頃から佳乃とは何もかもが違う。そんな理沙が、何故こんな野暮ったい佳乃とずっと友達でいてくれるのか、謎だ。謎だけど、理沙と友達で居られることは嬉しいから、何故? とは聞いたことがない。 「無理よ。そんなことに時間かけてられないわ」 「女医さん、大変ね……。佳乃とはなかなか会えなくて寂しかったわ」 高校在学中に街でスカウトされてモデルデビューした華々しい人生の理沙と違って、佳乃は地味に勉強をして夢だった産科医になった。おかげで忙しい毎日を送り、女としてのおしゃれなんて忘れてしまった。 「その分、命の誕生に立ち会わせてもらってるんだもの。私は幸せよ」 「産科医ってハードな生活って聞くわ……。体壊さないでね」 「心配してくれてありがとう。でもやりがいのある仕事だから」 眉をㇵの字にして顔を曇らせた理沙に、にこりと微笑むと、理沙はそうね、貴女のそういう真面目なところ、私好きよ、と言った。 「私も理沙が独り立ちして輝いた人生を送っているのが嬉しいわ。良かったら、その華やかな世界を聞かせてくれる?」 「勿論よ! 千里も渚ももう来てるの。みんなで沢山おしゃべりしよう!」 「そうね」 差し出された手は昔と変わらずで。いっときだけでも学生時代に戻ることを自分に許した佳乃は、理沙の手を取って、店の中に入って行った。
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