怪しい名探偵 第1回 丸出為夫の推理

42/45
前へ
/45ページ
次へ
 丸出のポケットから取り出した2つの物体は、机の上で静かに無残な姿をさらけ出していた。一つは踏みつけられて大きく変形しているが、何か青い飾りのようなものがついた細長い金具。女性用のヘアピンとおぼしき原型をわずかに留めている。もう一つは、その青い飾りのようなもののかけら。  海老名は軍手をはめた手で、その2つの青を慎重につなぎ合わせてみた。2つの青は一つの花の形……例のあの青い花をそのまま模造した、美しい飾りとなって表れる。海老名は、今度こそしっかりと記憶に留めたその花の名前を口にした。  「……ネモフィラだ」
/45ページ

最初のコメントを投稿しよう!

24人が本棚に入れています
本棚に追加