第1話

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あ、眠…。昨日、勉強したせいで寝てなかったからだろう。ぼんやりと体を覆う春の陽気は、催眠効果抜群だ。俺の瞼が勝手にずり落ちていく。 「ごめん、なさい、遥先輩。俺、寝ます…」 「いいよ~僕もここでぼんやりするだけだし」 春風のような声を聴きつつ、とろりと眠りの中に落ちていく。体の感覚が遠くなっていく中、1つ、柔らかな感触を感じた。 俺の頭をゆっくりと往復する、優しい手。 「おやすみ、葉樹くん」 くそ、すぐ子供扱いしやがる…。内心悪態を吐きながらも生理的欲求には逆らえず、俺はゆっくりと眠りの中に引きずり込まれて行った。
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