オファー

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「naoさんお疲れ様でした」 「お疲れ様〜」 アンコールを終え、ステージ袖に引きあげ、次々とねぎらいの声を掛けてくれるスタッフさんに笑顔で軽く会釈。 「お疲れ、nao」 ステージ袖の一段下からライブを見守ってくれていた舞台監督からキンキンに冷えたミネラルウォーターのペットボトルと、白いツアータオルを笑顔で受け取ると、私は薄暗く狭い通路を抜け、楽屋を目指した。 全国10ヵ所を回るツアーも三分の一を終え、新たにリリースしたばかりのアルバムの曲も、だいぶ喉に馴染んで来たところ。 ---今日はあの曲のCメロの高音で、声量落ちなかった。 一昨日のライブでは、その曲のサビにあたる所謂Cメロの部分で、その高音の部分の声が掠れてしまっていたんだけど、今日は満足いく声量で歌い切ることができた。 ---こういう曲もライブでちゃんと歌えることを証明したい! 今までは無難な曲が多く、“naoの歌声って、無機質じゃね?”とか、“スタジオでイイトコドリした音声だけ使ってるから、生歌は無理”とか言われていたこともあって、そんな評論家を見返してやりたくて、あえてこの曲をアルバムに入れていた。 先日でた音楽雑誌なんかでも、好意的に書いてくれている記事もあったりして、私的にも少し胸がすく思いだ。 そんなことを考えながら地下通路を歩いていると、【nao様】と張り紙がされた楽屋に辿り着いた。
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