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「あのクラス、自己主張が強いクセに適当な奴ばっかだったじゃん。香苗と簑島くらいしっかり者が仕切ってくれててちょうど良かったんだよ」
真奈美がカルパッチョを食べて、「ん! おいし」と唸る。
「そう言ってくれて、嬉しいわ。別れた旦那には、『お前に仕切られるばっかの人生なんてうんざりだ』って言われたけど」
「え」
三人の視線を集めながら、香苗は生ハムを頬張る。
「結婚前は、優柔不断な自分にはしっかり者の私が必要だ、なんて言ってたくせに」
「子供三人もいるのに、そんな理由で別れたのか?」
「まさか。決定打は『騙された!』って泣かれたことかな」
「騙す!?」
「泣かれた!?」
私と真奈美が同時に違うことを聞き返し、香苗がアハハッと笑った。
「美人でスタイルのいい私が好きだったんだって。友達に羨ましがられて、自慢だったって。けど、子供産む度に太ったし、性格もキツくなって、今では一緒に歩きたくないって言われた」
「はぁぁぁ!?? なに、それ。ふざけんじゃないわよ!」
自分でもびっくりするほど甲高く大きな声が出た。
それくらい、ムカついた。
「何様よ! 誰の子供産んで育ててると思ってるのよ! 子育てがどれだけ体力必要か、お前がやってみろって――」
「――でけー声だな。苦情くるぞ」
興奮気味に声の方を睨みつけると、男二人と女一人が立っていた。
な……んで……。
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