9.幸せのカタチ、一緒ならきっと

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「ただいまぁ」 「おかえりぃ」  玄関ドアが開くと同時に湊の声が聞こえた。  すぐに動けない私の代わりに、お母さんが出てくれる。 「あらぁ、派手に汚してきたねぇ」  グラウンドに行くと言っていたから、またも靴を真っ白にしてくるだろうことは予想していた。  休日は水をまかないから、砂埃がすごい。  足を庇いながらゆっくりと玄関に行き、予想を裏切る汚れっぷりに言葉を失った。  靴だけじゃない。  ほぼ全身真っ白。 「どうしてそうなる……」 「転んじゃった」  そうでしょう。  はぁ、とため息をついた時、さらなる衝撃に襲われた。 「湊! なんでその靴履いて行ったの」  なんと、湊が履いていたのは買ったばかりでまだ一度も履いていない真っ赤なスニーカー。箱に入れたまま、靴箱の横に置いておいた。  埃をかぶって、くすんだピンクに見える。 「だって……」 「あーーー、ごめん。俺の真似したんだよ」  見ると、匡のスニーカーも赤。だったよう。 「俺のスニーカー見て、自分も赤いの持ってるって見せてくれて」 「とにかく、ふたりともそのままシャワー浴びたら? あ、匡ちゃんの着替えないか」 「車に積んであるんで、持ってきます」  匡が玄関を出ていき、湊がしょげた顔で私を見る。 「玄関(ここ)で靴下脱いで、お風呂場で服脱いで」 「はぁい」 「湊」 「?」 「楽しかった?」 「うん! 哲くんもお父さんと来てて、一緒にやったんだ。二対二で!」 「そっか」
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