9.幸せのカタチ、一緒ならきっと

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「ほら! お喋りは後にして、早くシャワー!」  お母さんに急かされて、湊がもたもたと靴と靴下を脱ぐ。  ボストンバッグを持って戻ってきた匡も同じく、靴下を脱いで浴室に直行。  文字通り裸の付き合いをしている間も、湊が興奮気味に話しているのが、響いて聞こえた。 「よっぽど楽しかったんだね」 「うん」  ちょうど二回目のお好み焼きができた時、匡と湊がシャワーを終えた。  匡が持っていた着替えはスーツだったようで、ワイシャツにスラックスの格好をしている。 「なんで着替え持ってたの?」 「これから東京に行かなきゃいけないんだよ」  ワイシャツの袖を捲りながら、匡が言う。 「明日には戻る予定だけど、もしかしたら長引くかも」 「え!? 時間、大丈夫なの?」 「ああ。五時の便にしてあるから」 「あら、じゃあ、余計なこと言わなきゃ良かった?」  お母さんが匡と湊の箸とお皿を持って来て言った。 「余計なこと?」 「昨日、電話がきた時に、湊がサッカーしたがってるって言ったの」 「え? いつ電話?」 「千恵が湊とサッカーしてる時」 「聞いてないんだけど!?」 「そう? 千恵の電話が鳴ってたから、出ちゃった」  出ちゃった、って……。 「匡! コーラ飲む?」  返事を聞く前に、湊がキッチンにいく。  自分が飲みたいから、巻き添えにしたいのだろう。
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