9.幸せのカタチ、一緒ならきっと

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 確かに、大学で再会してから、割とわかりやすく一緒にいることが増えていた気がする。  改めて、自分がいかに匡に深く愛されていたのかを認識し、嬉しくて、恥ずかしくて、目を伏せた。 「素敵な話ねぇ」  お母さんがフライ返しを持って、うっとりしている。 「でもそれってさ? ストーカーじゃないの?」  おう。娘よ……。 「違うよ? 俺は堂々と千恵を口説いたからな! こそこそしなかった」  確かに、堂々とはしてたけど……。 「堂々とストーカーしたの?」  湊がとんでも発言をした。 「違うぞ? ストーカーってのは好きな人を怖がらせることだけど、俺は千恵を怖がらせたりしてないから。嫌がることもしてないから」  四年生相手に必死だな……。 「でも、別れちゃったんでしょ?」  焼きあがったお好み焼きにソースをかける梨々花を見て、そんなにかけない方が……と言いそうになってやめた。  仮にも年頃の女の子だ。  体型のことは言うまい。  いや、年頃ならそんなデリケートなことを興味本位でさらりと聞くのはいかがなものか。 「昔は昔! 色々あっても、こうして一緒にいるんだからいいの」  さすが母。うまく流した。 「そ! いいの、いいの」  お母さんからお好み焼きを渡されて、匡と湊がとっかえひっかえでソースとマヨネーズをかける。 「うまそ。あ! 忘れないうちに」  開けた口を閉じて、匡が席を立つ。
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