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「あら、相談してないの?」
お母さんが意外そうに聞く。
部屋がシンと静まり返り、私と匡に注目が集まる。
「急いでないから――」
「――実は!」
私の言葉を遮ると、匡が少し大きな声を出し、箸を置く。
「家を建てようかと思ってます」
聞いてませんけど!?
「まだ、千恵にも言ってないんですけど」
ハハハと笑って見せるが、笑い事ではない。
「転校しなくてもいい場所に、土地が……あるので」
「え? それってめぼしい土地が売りに出てるってこと?」
「いや、俺の土地?」
「はぁ!?」
これから結婚しようって時に、相談もなく土地を買ったってこと!?
いくら財産があっても、これはない。
「いや! 買ったんじゃない。名義変更しただけだ」
「名義変更!?」
「そう。実家の土地」
「……実家? そういえば、匡の実家ってどこだっけ?」
匡が肩を落とす。
「千恵。旦那の実家の場所も知らないの?」
なぜか、お母さんがため息をつく。
「え? だって! 中学の時はそんなに仲良くなかったし」
「それにしたって――」
「――実家は五条なんですけど、俺が大学の頃に両親はマンション暮らしを始めてるんです。なんで、人に貸してたんですけど、その人が少し前に引っ越したんで、結婚祝いに貰ったんです」
「え! ご両親に結婚のこと話したの!?」
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