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そして、半年後の四月。
私は、柳澤千恵、となった。
子供たちの名字をどうしようか、散々迷ってみんなで『柳澤』にした。
匡は泣いて喜んでくれた。
湊も嬉しそうだ。
だが、一番喜んでいるのは、梨々花だろう。
それもそのはず。
私たちの入籍をかなりグイグイ後押ししたのは娘。
その理由は――。
「匡ちゃん! コレ貼っていい? いいよね!?」
私は二階に駆けあがる。
「ちょっと! 新しい壁にいきなり穴開けないでよ」
「ええぇ!?」
「いいんじゃないか? 梨々の部屋だし」
「そんな甘いこと言ってたら、壁中穴だらけにされるじゃない! 大体、なんだってこんなにたくさんもらってきちゃうのよ」
「ええぇ……。俺のせい!?」
そう、匡のせいだ。
匡のせいで早々に家を建て、入籍して、引っ越すハメになった。
実家での梨々花の部屋は、四畳半。私と湊で八畳の部屋を使っていた。
が、匡が梨々の好きなアーティストのグッズを与えすぎたせいで、部屋が手狭になったのだ。
その最たるものが、等身大抱き枕。しかもメンバー全員分。
真空で持ってきた時は、まさか開けたとたんにこんなに大きくなるなんて思わなかった。
そして、一度開けると、再び真空にしなければずっと、大の男三人が部屋に寝そべっている状態。
梨々花は大喜びだったが、私にしてみたらとにかく邪魔。
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