1.夢に見る、会いたくなかった男

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近藤(こんどう)も来るんだろ?」と、簑島が真奈美に聞いた。 「うん」 「やっと離婚成立したんだ?」 「みたい」 「近藤?」  憶えのない名前に口を挟むと、簑島が私を見た。 「隣のクラスの近藤、憶えてる?」  隣のクラス、と言われて思い出す。 「ツーブロックにして来たら先生に怒鳴られて、次の日には坊主になってた奴!?」 「やっぱ、近藤っていえばソレだよねぇ」と、香苗が笑う。 「近藤、今はイ〇ンに入ってる美容室の店長してるんだけどさ」 「美容師なの?」 「そ! 今じゃ、ツーブロックを作る方」と、真奈美。 「本人は?」 「ロン毛。パーマかけて結んでんの」 「うそぉ!」 「ホント、ホント!」  四人の笑い声が響く中、ファーストドリンクが運ばれてきた。 「ひとまず、乾杯しよ!」と、真奈美がジョッキを持ち上げた。 「バツイチにかんぱ~い!」 「そんなのに乾杯とかしないから!」と言って、香苗がさっさとジョッキに口をつける。  私と簑島は笑いながら互いのジョッキを軽く合わせ、一口飲む。  そして、簑島に「で?」と話の続きを催促した。 「で、一年前のクラス会に飛び入り参加してたんだけどさ? 泥沼離婚調停中だって言ってたんだよ」 「え」  思わず笑顔が引きつる。 「なんか、デキ婚したんだけど、生まれた子供が自分の子供じゃなかったらしくて」 「うわぁ」と、思わず心の声が漏れる。  現実にあるんだ、と思った。
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