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第二話『No.002 地方N県 雛田村 死んだ人とのお見合い 前編 ~第二の死事、地図から消された村~』
川崎は、500万を稼ぐために更なる次の仕事を、口利き屋にもらいに再び店に訪れた。
相変わらず小汚ないし、わかりづらい上に、辛気臭い店だ。
能面を被った男が、座っている。
表情が読み取れないので、ただただ不気味だ。
~第一話 ダイジェスト~
川崎は、急遽500万が必要になり、
アルバイトを斡旋してくれる店に来たが、
一癖も二癖もある危険な、『ヤバい』仕事を
斡旋してくるものだから、
心臓が握りつぶされるような恐ろしい思いをして、なんとか生きて帰れたが、途中で抜け出したため、
目標額の10分の一にも満たないはした金しか
稼げなかった。
そのため、再びこの店に次なる『死事』を探しに来た。
というわけである。
二度目となると、もう手慣れたものである。
早速、仕事をもらう。
次なる仕事は、少しレベルが上の、『乙』の仕事。
『地方にある村に赴き、ある女性とのお見合いを遂行すること』
ただし、今回も不可解な『怪異』の匂いがする。
『その女性は、死んでいる』
というのである。
『あれだけ、恐い思いをしておいて、俺もよくやるよなあ』と思いながら、仕事を引き受け、
金のために、今回も骨身を削ることにした。
場所は、雛田村という
聞いたこともない変わった『村』だった。
実は、その村は、
地図から最近消されたばかりの、
新鮮な村だという。
早速、紹介状を手に、役所へ向かうと、役場のお偉いさん方や、村長が出迎えてくれ、
『よく来てくださった。
あなたで36人目ですよ。
良かった良かった
やっぱり若い人は若い人同士でなきゃあね
話もはずまないってもんですよ』
そう言いいながら肥った村長は、
額から頬からあふれでる脂汗を首から提げている手拭いでがしがしと、拭った。
村長の36目という言葉が気になった。
全く、この仕事は、事前に伝えてないことが多すぎる。
まさに(寝耳に水)である。
この場合、(寝耳に毒)といったほうが正しいが、
とにかく村長から大方の話を聞くことにした。
すると、この村は隣村と合併する予定だったが、村人がいやがり、合併は見送られ、
地図上からは現在は、(一時的に)消されているだけでやがて開発がされるらしいことがわかった。
なるほど、あちこちに色褪せた看板が立っていて、
余っているだだっ広い土地があり、
(2058年、レジャー施設建築予定地)とある。
看板だけがずっと前から建っているせいか雨風で錆びてだいぶ草臥れていた。
何十年も先の建設予定をあそこまで大々的に書いているのも、おかしな話だが、
村人があまり見られないのも妙だった。
村にいる間は、(ホテル)という名前の下宿みたいな木造の建物を住居として丸々貸し与えてもらうことにして、
(お見合い)は、一週間後に、行うという話で、
とりあえず寝床を確認することにした。
(馬小屋)よりはマシな昭和のアパートみたいな見た目の建物だった。
畑の真ん中にある(暗い感じの二階建てのアパート)だった。
一階は、完全な住居になっており、
二階は、村の青年消防団のホースなどの道具を置く荷物置き場になっていた。
自分は、一階のみを使うことにしたが、
二階は、なぜか気分的に行きたくない。
直感で、そう思ってしまうのだ。
(二階には行ってはいけない)と。
自分の危険信号が、赤く点滅しているのがわかるのだ。
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