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第一話 『No.001都内、大黒町 雑居ビルの清掃員 前編』
『口利き屋』というのがどうやらあるらしい。
都会の闇に隠れひそかに営業している。
用は、闇のハローワークもとい『斡旋屋』だ。
主な客層は、裏世界の人間で、
業種は、比較的生存率の高いマグロ漁船から運び屋、本当に洒落にならないヤバい仕事まで多岐に渡る。
頬に傷のある男、川島が、ある事情から500万を早急に用意しなければいけなくなり、三日で500万稼げる店を、紹介してもらった。
店はわずか六畳ほどで、奥のカウンターには、
ふざけた能面をつけた人間が、座っていて、
仕事をくれ、という暗号を言う。
(毎回違うらしい)
すると、能面野郎が、
『閻魔帳』という厭なネーミングの求人を出してきた。
店主の話では、比較的生存率の高い仕事は、『甲』
中くらいが『乙』ヤバい仕事は、『丁』それ以上になると『半』になるという。
『丁』や『半』になるとほぼ生存率は保証できず、
体や骨さえ帰ってこれるかわからないから、
事前に、葬儀の準備や遺書を書いてからやるのが
決まりだそうだ。
ほとんどは、『甲』か『乙』が主流ということらしい。
仕事が決まった。
雑居ビルの清掃員、
生存レベルは、『甲』
軽い仕事だと、思った。
ーーーひと月前、
『ヤバい仕事を紹介してくれる(口利き屋)っていう店らしい。まあ生きて帰って来いよ』
先輩が、選別に煙草をワンカートンと、どこかの神社のお札をくれた。
(まあ、死ぬよかマシか…)
ーーー 一ヶ月後
そう思い、目的のビルのある駅を目指す。
わずか、20名ほどの人間がいて、年寄りもいれば、
若いのもいる。
上司らしき人物が説明する。
『え~君らには今日から、死ぬ気で作業してもらいます。
この、ビルは、断っておきます。出ます』
若い鼻ピアスの男が、
『出るってなにがすかぁ?』
そう言うと、
『霊です』
そう言って、紙を配る。
そこには、マニュアルが書いてある。
大黒ビル火野和商社作業マニュアル
①『死んでも絶対に文句は言わない』
②『当社は責任を持たない』
③『何があっても動じない』
④『責任を持って仕事に望む』
⑤重要『敷根さんには逆らわない』
最後の敷根さんには、逆らわないというのが、
よくわからない。
おまけにわざわざ赤字で重要と書いてある。
『特に5が需要です。これだけは
なにがなんでも守るように、
でなければ…死にます!!!』
以上、散会。
何かわからない点があれば、
事務へよろしくお願いいたします!!
その後、念書(同意書)まで書かされた。
本格的にヤバい仕事なのだと、察した。
(敷根さん…厭な予感がした)
そして、川島の想像を絶する
恐ろしい日々が始まった。
第一部 完。
中編へつづく。
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