黒船が来たぞ~!

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黒船が来たぞ~!

 第二話  黒船が来たぞ!(前編)  黒船来航のお話の前に、龍馬と半平太のお話の続きを少々。  龍馬から見ると遠縁の従兄弟である武市半平太は、兄のような存在でもあり、イジリやすい先輩のような存在でもあったようです。  程よい感じに、いい加減であった龍馬と違い、半平太はやや堅物な人間で、自分に厳しかったようで。  毎朝、家の前からから見える高知城に一礼するのが日課のような男でした。  そんな半平太を見る度、龍馬はいいます。 「アギはちっくと緩やかに世の中を見ないといかんぜよ」  「アギ」とは土佐弁で「アゴ」のことで、いうなれば「アゴ長兄さん」や「顔長兄ぃ」のような呼び名で土佐の若者の中ではリーダー格の半平太をからかった呼び方をしていたそうです。  半平太は弟分の龍馬には何故か厳しく接することはなく、「アギ」と呼ばれても苦笑いでそれを返すだけだったようですね、なんか龍馬のキャラ的に真面目に怒る気にもならなかったのかも。    当時の下級武士が描く夢は、私設道場を持ち道場主となること、それ以外上級武士に仕官することなどありましたが、江戸末期では身分も固定化されており、道場主が現実てきな夢であったでしょう。    半平太は土佐の中心部で道場を開き、道場地元の若者達に剣術を教え、順風満帆の人生を歩んでいる郷士の中ではエリートであり、若者にとっては憧れの存在でした。  その私設道場には、中岡慎太郎や岡田以蔵も通い、後の「土佐勤王党」の母体となった道場でした。  そして、龍馬のエピソードとして有名なのは、龍馬が半平太の家に遊びに行く度、玄関先の垣根に毎回立ち小便をしていて、半平太の奥さんが「龍馬様のあの癖、どうか旦那様が注意して頂けないでしょうか」というと、半平太は苦笑いして「龍馬のすることだ大目に見てやってくれ」といったエピソードがあります。  これも龍馬なりの「半平太イジリ」だったのかもしれませんね。  因みに、半平太と奥さんは、当時としては珍しく、ラブラブであったらしく、奥さん宛の手紙が数多く残っていることからそれを忍ぶことが出来ます。
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