君がくれた笑顔はナミダの味がした

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「やーい鉄仮面」 「本当雪村さんって表情ないよね」 「雪女って感じ。白いし、髪の毛も異様に長いし」 「陰気で気持ち悪い」  違う、違う、私は人見知りなだけなのに。  無言で俯きながら私は教室の廊下を歩く。 「こんにちは、雪村さん」 「あ、甲本君」  クラスの中でも人気のある甲本明君。背が高くて、髪の毛を少し染めたいわゆる今風の男の子だ。会話がうまくて、いつだって友達と一緒に居る彼は、ボッチな私にも声をしっかりかけてくれる。優しいったらありゃしない。けれど、そのせいで悪目立ちしてるとも言える。ごめん、正直ちょっと迷惑。 「こんにちは、甲本君」  思いっきり笑顔を作ろうとする。だけど。
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