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彼の心臓の音が伝わってくる。
彼の息の音が脳に響く。
僕は恐る恐る、彼の耳元で僕の思いの全てを伝える。
「僕は、響輝、くんのこと、大好きだから、何があっても、響輝くんのこと嫌いになんか、ならないから、だから、、」
僕は彼の悲しむ顔を見たくない。
「だから、、隠してる本音、全部、言って、欲しい。」
僕の言葉に、彼が少し反応したような気がした。
しばらくの沈黙が流れる。
彼を抱きしめていた僕の手を、彼が軽く握ってくれた。
「…ごめん。」
彼は小さく謝ると、僕の手を離し、僕の方を向き、僕を抱きしめた。
そのときも、顔は俯いたままで、表情が見えなかった。
「…ごめん、ごめん、、ありがとう。」
彼は謝りながら、僕を抱きしめる手を強めた。
僕は最初戸惑ったけど、僕も彼を抱きしめた。
彼は多分、泣いていた。
微かに彼の息の音がかすれていて、彼の背中がかすかに震えていた。
彼が落ち着いたなと思って、彼を抱きしめていた手を緩めると、彼の手も緩められた。
彼から離れようとしたとき、彼に肩を押された。
下にカーペットが引いてあったおかげで、頭を打たなくて済んだ。
彼の手が当たってしまったんだと思い、起き上がろうとしたとき、彼が覆いかぶさってきた。
「…え?」
「…ごめん。」
彼は僕にキスをした。
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