第1話 親友

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しばらくして、フライドポテトが来た。 注文ミスで、ひとつしか来なかった。 彼はもうひとつ頼もうとしたけど、僕はそんなにお腹も空いていなかったから、大丈夫のかわりに首を振る。 僕を見た彼は、その意図をくみ取ってくれたようだ。 店員さんは戻って行った。 「…勉強の続きしようか。」 僕は、なんとなく誤魔化すように言った。 そんな僕を見て、彼は何を思ったのか、鞄を持って僕の隣に座った。 「やっぱりこっちの方がいいよね。ずっと思ってたんだけど、やっぱり男二人は窮屈だな。やっぱり、向こうに座ったほうが、」 僕は、さっきよりも大きく首を振り、彼のノートと教科書を渡す。 「そっ、そんなことない。…響輝くんがいいなら。」 彼は、僕から教科書とノートを受け取る。 「…ありがとう。」 彼の動きが一瞬止まったように感じた。 彼は、テーブルに置かれたフライドポテトを僕と彼の間に置く。 「今日教えてくれるお礼。」 「…そんな、悪いよ。」 「いいよ、俺がしたいだけだから。一緒に食べよう。」 そう優しく微笑んだ彼は、またノートに視線を落とした。 僕も彼の視線の先のノートをみる。 僕は、彼のノートの文字を読んでいて、彼がこっちを見ていたことに気が付かなかった。 ふと顔をあげると、彼と目が合う。 「…な、、なに?」 僕は彼の目を見たまま問いかける。 少しの間が空く。 「…いや、ここがわかんなくてさ。」 そういうと、ページのひとつの問題を指さす。 「…ここは、教科書に書いてあった公式を使えば。」 僕が自分の教科書を開いているときも、彼は教科書ではなく僕を見ていた。 その事に、僕は気が付かない。
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