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「…そろそろ行かないと。」
腕時計を見た僕は、教科書とノートを鞄に入れる。
「もうそんな時間か。今日もありがとう。」
「…こちらこそ。ありがとう。一緒に勉強できて、その、楽しかった。」
僕は、少し照れながらそう言うと、彼も微笑む。
「じゃあ俺も帰ろ。一緒に塾まで行っていい?」
「…僕はいいけど、響輝くんの家反対なんじゃ。」
「俺の事は気にしなくていいんだよ。それに今日はバイトだし。親友なんだから、少しでも一緒にいたいだけ。」
「そっ、そっか。」
親友という言葉に僕は弱い。
伝票をもってレジに向かう彼に僕はついて行く。
「950円になります。」
お金を払おうとした僕を、彼が止めた。
「今日は俺が払うから。」
「…え、そっ、そんな、」
彼はお金を店員さんに渡し、レシートを貰った。
ファミレスを出る。
「…い、いつも悪いよ、毎回ファミレスのときは奢って貰ってるし、」
「親友なんだから、これくらいして当然だろ?教えて貰ってるんだから。」
「で、でも。」
「その変わり、また勉強教えてよ。」
「…それはいいけど。」
「なら解決、明日も一緒に帰ろうな。」
「…うん。」
僕は、申し訳ない気持ちもあったけど、彼の言葉が嬉しくて、彼がそう言うなら甘えてしまおう、そう思った。
僕の塾の前で彼と別れた。
彼は塾の近くでバイトをしてるらしい。
どこで働いてるかは知らない。
僕は彼が見えなくなってから塾に入った。
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