第1話 親友

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「…そろそろ行かないと。」 腕時計を見た僕は、教科書とノートを鞄に入れる。 「もうそんな時間か。今日もありがとう。」 「…こちらこそ。ありがとう。一緒に勉強できて、その、楽しかった。」 僕は、少し照れながらそう言うと、彼も微笑む。 「じゃあ俺も帰ろ。一緒に塾まで行っていい?」 「…僕はいいけど、響輝くんの家反対なんじゃ。」 「俺の事は気にしなくていいんだよ。それに今日はバイトだし。親友なんだから、少しでも一緒にいたいだけ。」 「そっ、そっか。」 親友という言葉に僕は弱い。 伝票をもってレジに向かう彼に僕はついて行く。 「950円になります。」 お金を払おうとした僕を、彼が止めた。 「今日は俺が払うから。」 「…え、そっ、そんな、」 彼はお金を店員さんに渡し、レシートを貰った。 ファミレスを出る。 「…い、いつも悪いよ、毎回ファミレスのときは奢って貰ってるし、」 「親友なんだから、これくらいして当然だろ?教えて貰ってるんだから。」 「で、でも。」 「その変わり、また勉強教えてよ。」 「…それはいいけど。」 「なら解決、明日も一緒に帰ろうな。」 「…うん。」 僕は、申し訳ない気持ちもあったけど、彼の言葉が嬉しくて、彼がそう言うなら甘えてしまおう、そう思った。 僕の塾の前で彼と別れた。 彼は塾の近くでバイトをしてるらしい。 どこで働いてるかは知らない。 僕は彼が見えなくなってから塾に入った。
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