二夜目

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「え?」  急な誘いに、雄太はまた声の調子がおかしくなった。  電話の言葉は続く。 『それとも鬱陶しいですか?』 「まさか」  鬱陶しいどころか、歓迎だ。  すると彼は、英語圏でよく使われているチャットアプリの名前を口にした。 『使ってますか?』 「はい」  日本で主流のあれじゃないんだ、と雄太は面食らった。 『じゃあ、友達登録しませんか? もし嫌になったら解除なりブロックなりしてくださっていいので』 「ぜひ」  即答していた。  日本を出たことない人はきっと使っていないアプリ。でも自分たちは登録している。  お互いの経験があってこその繋がり方だ。特別な。  そう思うと胸が高鳴る。  雄太はすぐに、彼が口にしたアカウントIDを検索した。
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