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了承する間もなくコールが来た。
雄太は軽く髪を手で整えてから応答ボタンを押した。せめてAIに見せた自分よりはちゃんと映りたい。
すぐに、二人の顔が映し出される。
「お疲れ」
仁が口角を上げて雄太に笑いかける。
鼻が高く、頬のラインはすっきりと綺麗で、空港で会った時から感じた穏やかさがよく似合う端正な顔だ。マスク着用で増えたと騒がれた肌荒れとも無縁に見える。
想像に違わず、かっこよかった。
「これでお互い様だね」
「ああ……そうですね」
そう言えば、彼は昨日廊下で雄太の素顔を見ている。自分だけ隠したままなのは不誠実ということなのか。
(律儀だな)
雄太は椅子の肘掛けによりかかり、スマホを持つ手を安定させた。
仁が会話を再開させる。
「さっきの質問だけど」
「はい」
真剣な眼差しに、雄太はドキドキしながら姿勢を直した。
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