二夜目

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 やっぱり男前だと思った直後、雄太は自分がマスクなしの素顔でいると気づいた。 「……!」  とっさに袖で鼻と口を隠すと、彼は目を細めて肩を震わせた。  雄太は顔が熱くなるのを感じた。これ以上、不格好なところを見せないように部屋に戻った。  息が苦しくなる。  マスクをしてないことに罪悪感を抱き、ああもわかりやすく自己防衛をするとは。自分は今、近づいてはならない存在だと示したようなものだ。これでは、留学を非難した周囲が正しいと認めることになる。  雄太は気を取り直そうと、持参していたドリップコーヒーを淹れるため電気ケトルを準備した。  湯気の立つマグカップを手に戻ると、部屋の壁紙が目に入った。 (隣室か)  さっきもイトウさんと目が合ったのを思い出す。  ここを出る日は雄太と同じはずだ。その後、彼はどこに行くのだろう。それまでここでどう過ごす予定なのだろう。今は何をしているのかも気になった。  マスクなしの雄太に、彼は笑いかけた。  思い出した瞬間に腕が痺れ、握力が弱まった手から豪快にコーヒーがこぼれた。
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