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(何やってんだ俺……)
カチッと乾燥サイクルが終了して、雄太は洗濯機の蓋を開けた。
一人ずつ予約制のランドリーだが、昼過ぎに使えたのはよかった。おかげで服にコーヒーの染みも残らない。
でも、そもそもがなんだか情けない。
ふう、と息を吐く。同時に、服を回収する手が止まった。
洗濯機の隣に小さな緋色の包みが落ちていたのだ。
前かがみになって凝視する。鈍い金色に縁取られたそれは、がま口の小銭入れだった。
「……すみません」
おそらく雄太の前にここを使った人の落し物だろう。雄太はランドリールームを見張っていた係員に声をかけた。
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