二夜目

5/9
前へ
/64ページ
次へ
(何やってんだ俺……)  カチッと乾燥サイクルが終了して、雄太は洗濯機の蓋を開けた。  一人ずつ予約制のランドリーだが、昼過ぎに使えたのはよかった。おかげで服にコーヒーの染みも残らない。  でも、そもそもがなんだか情けない。  ふう、と息を吐く。同時に、服を回収する手が止まった。  洗濯機の隣に小さな緋色の包みが落ちていたのだ。  前かがみになって凝視する。鈍い金色に縁取られたそれは、がま口の小銭入れだった。 「……すみません」  おそらく雄太の前にここを使った人の落し物だろう。雄太はランドリールームを見張っていた係員に声をかけた。
/64ページ

最初のコメントを投稿しよう!

29人が本棚に入れています
本棚に追加