理想の家族

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理想の家族

「直くん~!!ご飯よ~!」 「はーい、今行くー!!」 僕の家の朝は、母の呼び声で始まる。 カーテンを開け、顔を洗いトイレに行き、制服に着替えリビングへ向かうと、もう既に起きていて、今は新聞を読みながらコーヒーを啜っている父と、ご飯を食べ終えたのかソファでゆっくり寛いでいる妹の姿があった。 「あ、お兄おはよ!」 妹は我が妹ながら美人で可愛い。 しかしまだ中学生である。 「おお直人、おはよう」 父は、一見すると厳しそうな面をしているが、実はとても優しい。 会社では課長という立場にあるみたいで、部下受けもいいらしい。 今日もスーツがよく似合っている。 「さ、朝ごはん出来てるから、早く食べちゃいなさい?」 「うん、ありがとう母さん」 母は、四十代という年齢を感じさせない程若々しく、妹と同じく美人だ。 父が優しい分、母は時に厳しく、時に優しく、そして意外と面白い。 全ての子供のお母さん像を完璧に体現したかのような存在。 僕の自慢の母である。 今日の朝食は、ロールパン三つに、スクランブルエッグ、ウインナー、レタスとトマトのサラダ、コンソメスープに、デザートのヨーグルト。 そして〆には紅茶が出ている。 めちゃくちゃ優雅な朝だ。 そしてご飯は言わずもがな美味しい。 「今日も美味しいね、母さん!」 「あら、ありがとう直くん!」 うふふと言って嬉しそうにしている母の姿を見ると、こっちまで嬉しくなる。 「あ、お兄お母さんに鼻の下伸ばしてる!やらし~」 妹がそんな俺を見てからかってくるが、不思議と嫌な感じはしない。 「こらこら、お兄ちゃんももう年頃の男の子なんだから、あまりからかってはいけないよ?」 「は~い!」 父よ、フォローありがとう。 なんだかんだ言ってちゃんと周りの事を見ている父はやはり頼りになる。 「ほらほら皆、もう何時だと思ってるの!直くんと涼ちゃんは学校、パパはお仕事でしょ?早く行ってきなさい!」 「やば、もうそんな時間!」 「そうだね、僕もそろそろ行くとしよう」 「母さん、行ってきます!!」 僕たちは、母さんに言われバタバタと忙しなく家を飛び出したが、これも割といつもの事である。 家が心地良過ぎてついダラダラとしてしまう。 しかし、こうして僕の一日は始まっていくのだ。
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