31人が本棚に入れています
本棚に追加
「そろそろ起きましょう?」
「いいお天気よ。お空と同じドレスはいかが?」
「きょうはとっても暑くなるって。いよいよこれの出番だね」
一番上の姉様がカーテンを開け、二番目の姉様が青いワンピースを選び、三番目の姉様が涼し気なキャペリンと手鏡をベッドに置いてくれる。
「おはよう姉様」
私が起き上がると
「おはようイリス」
姉様たちは優しく私を抱きしめてくれた。
「おはようございます。ご気分はいかがですか?」
ガブリエルさんが朝食を運んでくる。
「おはようおばさん!」
「私のことはちゃんと名前で呼びなさいと言ってるでしょう?」
「だってさぁ」
三番目の姉様がなんか似合ってないんだものと笑う。
「あら、じゃあ今日からあなたのお食事はぬるいスープだけでいいってプーシェに言っておこうかしら?」
「ごめんごめん美しいガブリエル様ぁ」
プーシェさんのお料理はきっと世界一おいしい。
苦いお薬なんか下げてもらってプーシェさんのご飯だけいただいていれば、私ももっと元気になれると思うのだけれど。
「お嬢様」
「はい?」
「今日は旦那様がお戻りになられます」
頬が強張るのが分かった。
「ええ~っ」
私のベッドの上で、姉様たちもあからさまに不満げな声を出す。
「なんですかあなた達。とにかくそういう事だから、くれぐれも呼ぶまで出てきてはだめよ?」
「わかってるよぉ」
「大丈夫よ、どうせ二、三日しか居ないんだから。イリス、あまり緊張しないで」
「ほら、いつものおまじないしよ?」
姉様たちの心遣いがうれしかった。
最初のコメントを投稿しよう!