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芽衣ちゃんのピアノは、魔法のピアノ。
ドレミファソラシド、ド、ド、ド。
あたしがどんなに頑張ったって、よく間違えませんでしたねしか言われないのに、芽衣ちゃんが弾くと途端にめちゃくちゃになる。
怒る人もいる。呆れる人もいる。言葉を失う人もいれば、たまらずべらべらしゃべりだしてしまう人もいる。
白と黒。
あたしの肌色がどれだけ往復しても、決められた音を、決められたように正しく発してくれるだけだ。
それでも芽衣ちゃんのゆびさきが走ると、途端にきらきらと光り出す。
追いかけてもけして届かない、あたしなんかを振り返りもせずに駆け抜けていく、たくさんのひとに愛される、芽衣ちゃんのメロディ。
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