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ふたりで一緒の委員会
夢結が転校してきて、3日目。
まだ友達もろくにできてない夢結は、何かあるたびに困ってる。
直接は何も言われねーけど、隣の席だからいろいろ助けてやってた。
「委員会決めるぞー、希望でいいな、やりたいとこに名前書いてけ」
1時間目は委員会決め。委員会の名前が黒板にずらずらと書かれてる。
「…どうしよう」
ぽそっと、夢結の声が聞こえた。
女子は仲いいどうしで次々に名前を書いてく。
「…一緒のにするか?」
「…いいの?」
どーすっかなってドキドキしながら、もし一緒ならラッキーって思って夢結に聞いてみたら、まさかのこの返事!
「全然、いいよ」
「…ありがと」
「やりたいのあるか?」
「…わかんない…桜海くんは?」
「オレは…」
やりたかったレクレーション委員会、黒板見ると、もう名前書かれて埋まってる。
「桜海、どーするんだ?みんな大体書いてるぞ」
初日には伊坂、って呼んでた牧田先生は、みんなのことを名前で呼ぶ。
夢結も自然に桜海って呼ぶのが、ちょっとくすぐったい。
オレは”おうみ”、だけどみんなは”おみ”、って呼んでて、夢結にもそう呼ばれたらオレ、ドキッとかすんのかなぁ…
何が残ってんのかなと思ったら、え、放送?
やったことねーし、考えてもなかったやつだ。
「えー、放送〜?うーん」
夢結に、一緒のにするか、って言っちゃったし、夢結どうなんだろ、どーすっかな、と困ってると
「桜海、いい声してるから放送も合うと思うぞ、やってみたら?」
先生はそう言うけど、夢結のことが気になる。
「放送だって、どう?」
なんて返事されるかな、と思いながら、隣の夢結に、こそっと聞いてみた。
「桜海くんと一緒なら…いいよ、夢結は、なんでも」
え…そんなこと言う?
それもさ、ちょっとほっぺた赤くしてんの。
それって…オレが好きってこと?
とかって勘違いしちゃうやつじゃん。
やべ、オレまで赤くなりそうだ。
「じゃ、いい?放送で」
「…よろしくお願いします」
「オレも初めてだからよくわかんねーけど、やってみるか」
「うん」
前に出て、ふたり分の名前を黒板に書く。
伊坂桜海 和泉夢結
名前が並んでるだけで、ちょっと照れくさいぞ。
夢結は…なんとも思ってねーか、思わないよな。
ドキドキしてんの、オレだけかよ。
席に戻るとちっさい声で、ありがと、って夢結に言われた。
やっぱほっぺた赤ぇじゃん。
「おぅ」
オレもちっさく返事した。そしたら夢結、オレの方見てニコッと笑う。
やべぇ~、かわいい。
「ん」
なんもない振りしてるオレ。
周りに気づかれたら恥ずいから。からかわれたくねーし。
夢結は…どうなんだろーな。
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