お昼の放送と、オレのドキドキ

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お昼の放送と、オレのドキドキ

給食時間の放送はたいてい6年生の担当だけど、6年生が社会見学で出かけた日は5年がやんなきゃで、オレと夢結がやることになった。 どうしようかふたりで相談して、低学年でもわかるようなお話の本を読むことに。 オレと夢結のふたりで、ってのがドキドキだったんだけど…夢結はどこかぽわん、としてるとこがあって、よくほっぺた赤くしてっけど、それがなんでなんかオレにはわかんなくて。 オレはなるべくフツーにしてっけど、隣座ったらドキッとしてんのとか、夢結はぜって、気づいてなさそ。 選んだ本は昔話のちょっとした恋愛もので、男役はオレ、女役は夢結。 ほんわかしたストーリーの中に、好きです、仲良くしてくださいってセリフとかあって、すげぇドキドキした。 そんなのオレだけかな、夢結はどうだったんだろ。 「ふたりとも息ぴったりで上手かったぞ」 「そうかな、ありがとう先生」 内心うれしいくせに、照れくさいオレ。 「夢結はほんとに、読むのが上手いな、本が大好きだろ」 「はい、大好きです」 そう言いながら、ちらっとオレの方見たらさ、オレのことが好きなんかな、って思うじゃん。わかんねーけど。 「桜海も好きか?」 「えっ?」 あわわ、急に何言ってんだよ先生! 夢結、真っ赤になってんじゃねーか。 …オレもだけど。 「桜海はイイヤツだよ、頼りになるし」 「…はい」 「まだわかんないことたくさんあるだろうから、桜海に聞くといいよ」 「…はい」 「先生も転勤してきたばっかりだから、わかんないことは夢結とおんなじ、桜海に頼ってるの」 「ふふふ、先生も?」 「そうそう」 やべぇ…夢結、笑顔かわいい。 家帰って夢結のことかわいいな、って思い出すと、最近オレの…よく硬くなる。 どーしたらいいんだ、ってのが、誰にも言えない悩み。 放送のことは、牧田先生だけじゃなくて他の先生からも、息ぴったり、上手ねって褒められた。 褒められるたびに夢結はほっぺた赤くする。 それ見てオレはまた、かわいいな、って思って、帰ってから… これが思春期、ってやつなのかな。 ちょっとエッチなやつになったみたいで、やだな、オレ。 …触ってみても、いーんだろーか。わかんねー!
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