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夢結のふわふわ
親に持たせられたおやつ、クッキーとかそんなんかな、袋に入れて、ドキドキしながら自転車乗ったら、夢結んちはわりと近かった。
インターホン押したらすぐ夢結の声。
「…こんにちは、お邪魔します」
「…どうぞ」
出迎えたのは…エプロン姿の夢結。
やべぇ…めっちゃかわいい!
「いまね、おやつ…作ってたの」
「え?夢結が?」
「…うん」
夢結、真っ赤。
照れくさくて、あんま名前呼んだことねぇもんな。
てか、さっき帰ったばっかなのにおやつ作るって、夢結すげぇ。
オレの周りにいままでそんな女子いたか?
「桜海くん、ゼリー…好き?」
「え、お前そんなの作れんの?」
「ママと一緒に…」
「すげぇじゃん!」
「…そう?」
「よく作んの?」
「うん」
夢結のママに、お邪魔します、初めまして、って挨拶して、親からの袋渡したら
「夢結と仲よくしてくれてありがとう、桜海くん」
お礼言われちゃったけど、オレ、仲よくしてんのかな。
「や、そんなでも…」
「あら、そうなのね。夢結、よく桜海くんの話してるから、てっきり仲いいと思ってて…夢結の勘違いなのね、ごめんね」
「あの、オレ、席が隣なんで、忘れ物したときとか、助かってます」
しどろもどろに答えると
「うん、聞いてる」
夢結のママ、にこにこしてんだけど、ちょっと夢結に似てんのかな。
「夢結、勉強よくできるんで、教えてもらうことも…」
「夢結ね、こないだ、桜海くんに算数聞いたらすごくわかりやすかった、って喜んでたわよ、スポーツも勉強もできて桜海くんすごい、って」
そんなふうに思われてんだ、照れくさいけどうれしいな。
「や…そんなでも」
「褒められたときは、ありがとう、でいいのよ。…モテるでしょ、桜海くん」
「…は?」
会ったばっかでそんなこと言う??
「モテモテなのに、夢結のこと気遣ってくれて助かるわ、ほんとありがとう、桜海くん」
肩、ぽんぽんってされた。
「ママ?桜海くんとなに話してたの?」
ほんのりほっぺた赤い夢結。
ざんねん、もうエプロン外してる。かわいかったから、もうちょい見たかったなぁ。
「ご挨拶してただけよ、ゼリー固まるまでやってたら?」
「うん、そのつもり。桜海くん、色塗っちゃおう」
「あ、うん」
どこでやんのかと思ったら、夢結の部屋。
テーブルの上に新聞敷いて、絵の具とか出して水持ってきて、隣に座って塗ってる。
けど、部屋ん中ピンクと白って…落ち着かねぇ。
しかも、やっぱいい匂いするし、夢結、学校とは違うカッコしてるし。
「いつもそんな?」
「え?」
「帰ったら着替えんの?」
「うん、汗かいちゃうから」
なんか…ふわふわしたの着てんのってさ…触りたくなるよな。
「…あれ?なぁに?」
「あ、ごめん」
やべ、つい、ふわふわの服に触っちった。
「こういうの好きなの、ふわっとしてて気持ちいいでしょ」
「…着心地よさそ」
めいっぱいごまかしてるオレ。変な汗かいてる。
「触っていいよ」
夢結はいいよ、って言ったけど、どこ触ればいいんだよ。
「桜海くん?」
裾、ちょっと引っ張ってどうぞ、って。
「…ふわっふわだな」
「ふふ、気持ちいいでしょ」
「うん」
あー やーべーぇー…なんだか変な気持ちになる。
「そろそろゼリーできたかな、見てくるね」
助かったー!
ゼリー見に降りてった。
はー、まじヤバかった…オレ、硬くなりかけてるし。
触っていいよなんて、簡単に言っちゃダメだろ夢結。
それに、せっかくフツーに話してんのに、オレが意識してるってバレたら、もう来れねぇじゃん。
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