位牌、お墓、あの世。ご先祖様はどこにいる?

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位牌、お墓、あの世。ご先祖様はどこにいる?

お盆期間中、仏壇の扉は閉じておく。 位牌が盆棚へ移動し、仏壇は空になるから。 ということは、ご先祖様は位牌にいるのか。 いや待て。ご先祖様たちは普段あの世にいて、お盆の迎え火によって戻ってくると言うではないか。位牌にいたら迎え火の意味がない。 位牌ってなんだ。 解せないことはまだある。 迎え火で戻ってきている期間に、お墓へ行ってお焼香するということ。 お墓に手を合わせている今このとき、ご先祖様たちは我が家の盆棚にいるのではないのか。一体私は、何に手を合わせているのか。困惑。 お墓ってなんだ。 一体ご先祖様は、どこにいるのか。 位牌とは。お墓とは。   * この疑問について、私なりに整理してみる。 ご先祖様を「遠くにいる親戚」として考えてみると―― 毎日仏壇に向かって話しかける行為。これは……親戚に「元気してる?」と電話するようなもの。ということは、位牌は各人専用の通信機か。 普段は遠くにいて会えない。でもお盆になれば、うちに泊まりにやってくる。そのときの席が、盆棚の位牌。位牌は通信機であり、依り代でもあるわけだ。 お墓。お墓は……うーん、家? お墓へお焼香しに行くのは、親戚の家に遊びに行く感じだろうか。お焼香日前には、自分で掃除ができない親戚に代わって、私たちが掃除をする。 もしくは、お骨――つまりその人が生きた物的な証がある場所だから、パワースポット的な感じとか。 有名人の衣装や日用品が展示されているところに、ファンが見に行く。そういうことに似ているかもしれない。実際、棺の中にいろいろ縁のある物を入れて火葬し、それも一緒に骨壺へ入れるのだし。 ひとまずそういうことにして、私の中では折り合いをつけておくか。 しかし毎年のことながら、お盆がすぎるとすぐに秋風が吹き始める。日差しはまだまだ強いが、季節は確実に巡っている。 次は秋のお彼岸か。
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