偽装工作

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私は恐ろしくなってその場から逃げだし、自分の持ち場に戻りました。 そして朝が来るまでの間ずっと震え続けました。 翌日、女性の死が確認されました。 彼女はベッドの上で眠るように死んでいて、死因は末期癌、葬式も問題なく行われました。 あの時見たものは一体なんだったのでしょう。今でもわかりません。 ただ、私はあのベッドの上で死んでいた彼女が、本当に本物なのか確証が持てないんです。 もしかしたら、死亡が確認され、棺桶に入れられ、火葬されたのは、彼女が産み落とした身代わりなんじゃないか。 彼女はそうやって昔から自分の死体を捏造しながら新たな戸籍を渡り歩き、何百年、もしかすると何千年と生きてきたのかもしれません。 そんな妄想に取り憑かれてしまっています。 私の話はこれで終わりです。
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