偽装工作

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私はびっくりして思わず叫びそうになったのですが、彼女はとっさに私の口をふさぎました。 そして「静かに」と言って、私の耳元でささやきました。 「驚かせてごめんなさい。でも大丈夫。誰にも言わないでほしいの。お願い」 彼女はそう言って微笑みました。私は驚きつつも、黙ってうなずきました。 彼女は入院着の裾をまくると、お尻を丸出しにしていきみ始めました。私は何が何だかわからないまま、ただその様子をじっと見つめているしかありませんでした。 するとやがて彼女の下半身から何か大きなものがゆっくりと出てくる様子が見えました。 まるで出産をしているように、いえ、それは出産そのものでした。 彼女がいきむ度に、人の形をしていたそれが少しずつ外に出てきていたのです。 やがて地面に落ちたそれは、3歳児程度に見える女の子でした。 その子はぐったりとして動かず、死んでしまったのかと思いました。けれどよく見ると胸が上下していることに気づきました。 その子はピクピクと痙攣すると、みるみるその体が成長し始めます。 最初は幼児程度の大きさだった体はあっという間に大人の体になり、やがて入院していた彼女と全く同じ姿かたちになりました。 女性は疲れた表情を浮かべながらも、入院着を脱ぎ、地面に倒れている体に着せました。 そしてその体を持ち上げると、ベッドに寝かせて布団をかけたんです。 「最近は死体が無いといつまでたっても行方不明扱いになるから大変、めんどくさい世の中になったな」 彼女はそうぼやくと、私の方を振り返ってこう言いました。 「驚かせちゃってごめんね。あとよろしく」 そう言うと彼女は病室の窓から外へ飛び出して行きました。 慌てて窓の外を見ると、4階の高さから飛び降りたというのにそこには彼女の姿はありませんでした。
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