レンタル遊戯

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「やったじゃねーよ! 手、大丈夫か!?」 タイミングよく、夏目の持つルーレットから文字が浮かんできた。 『──回復マス、回復アイテムあり〼』 〼って何だ、と思いつつ俺はルーレットを回した。ぱあっと体が光って、夏目は腕の怪我が、俺は肩こりが治る。 良かったという思いと同時に、冗談じゃねぇぞ、という気持ちが湧いた。 現実感はまるでない。怖い。 けど、一旦、受け止めるしかない。 気持ちを落ち着かせるためにも考えを口に出す。 「起こったイベントは本人、もしくは、二人共に適応されるのか。リタイアとかはできねーの?」 またルーレットから文字が浮かぶ。 『リタイア不可。脱出したければボスを倒すこと。ボスを倒せばゲームクリア。現実世界に戻れ〼』 ボスを倒すってどうやるんだ。できるのか、とそこそこ萎えた俺の気持ちを他所に、夏目がルーレットに質問していた。 「このままルーレットを回さずにいた場合は? ずっとここで過ごす事になるの? 例えばお腹が減って餓死しちゃうとかそういうこともあり得る? ゲームをクリアした場合、現実でいうとどの時点に戻るんだい?」 ルーレットの上に文字が現れては消え、現れては消えている。 日常生活で滅多に見ない夏目の食い気味な姿に、やっぱりおかしいのは俺のほうなんだろうかという気持ちになってきた。 ………いや、夏目の反応のほうが変、だよな? 段々と自信を無くしていく俺の頭上で、にゃーん、と猫が鳴いた。
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