レンタル遊戯

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「本当は、このゲームをよく知っているのは、ぼくではなくて、ぼくの祖父である恭二郎(きょうじろう)なんだ。ぼくは恭二郎からこのゲームでの冒険活劇を聞かされて、わくわくして、寝つきが悪くなった。母は酷くぷんすかしていた」 「……何の話だ」 「恭二郎は嘘つきではなかった」 すっきりとした顔で夏目は続けた。 「だから、大丈夫。古岡くんはきっと無事だ。きみを巻き込んでしまったのは、申し訳なく思っている」 夏目の言葉は明るくて静かだった。 なぜか、『誰もいない森で倒れた木は、音を出したか』という一文が脳裏を掠めた。 俺たちは、多分、音を聞いた。限られたやつ以外は誰も入れない、小さな森で。 頭の上に手をやる。猫がいる。 猫を撫でながら言った。 「しょうがないから許してやるよ」 「ありがとう。助かるよ」 浮かべられた笑顔は、いつもりより少し穏やかで、夏目なりにちゃんと話してくれたのだと思った。 それから少し進んで、前に進めなくなった。三マス分のボーナスが終わったのだろう。夏目がルーレットを回す。 『──ボスに遭遇』 おもむろに、周囲に霧が立ち込めた。
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