ふたりの秘密  理想的な家族3ー大翔

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 またか。  向こうから隣のクラスの女子が走ってくるのが見えて、大翔(ひろと)は思わず舌打ちした。 「篠山(しのやま)くん!(あお)ちゃんが!」  息を切らせて大翔の側にたどり着いたその子は、息を切らせながら、大翔の予想通りのセリフを叫んだ。  なんでいちいち俺のところに来るんだ。  内心そう毒づきながらも、「どこ?」と尋ねると、その女子は「教室」と安心したような、恥ずかしそうな、なんとも言えない表情を浮かべた。 「分かった。ありがとう」  そう答えて、大翔はその教室に向かって走り出した。  せっかく今日は、休憩時間に大翔のクラスがサッカーの日だったのに。  校舎の時計を見上げると、休憩時間終了まであと十分ある。  保健室まで連れて行って戻るのは…無理だろうな。  なんであいつはいつもこうタイミングが悪いんだ。わざとじゃないだろうな。  隣のクラスにたどり着いた大翔を、碧はへたり込んだまま涙目で見上げた。そばで三人の女子が心配そうに囲んでいる。  まぁ、倒れているよりましか。  軽くため息をついて、大翔は碧の側に(かが)んだ。 「大丈夫か?歩けるか?」  碧はこくりとうなずいて、そろそろと立ち上がろうとした。大翔がすかさず碧を支える。日常茶飯事すぎて、もう支えるコツも熟知している。
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