主人公に向いてない

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夏鈴が作った和装の衣装は、とても評判が良かった。そのまま夏鈴が中心となり、接客係の人達皆に作り方を伝授する。 のっきーに言われて改めて確認してみると、確かに接客係に決まり、衣装を作っているのは生物学的に女性である人達だけだった。そして、生物学的に男性である人達は主に力仕事をしており、その中にはのっきーの姿もある。 そののっきーの様子を、こっそりと伺ってしまう。 心が女性であるというのっきーは、男性に囲まれ、男性として扱われることがつらいらしく、その件で毎日のように返信に困るメッセージが来る。そろそろ返す内容がなくなってきた。のっきーと似たような気持ちを抱えているという人が出てくる物語やノンフィクションらしい本も読んだけれど、それでもいまいちわからない。私には難し過ぎる。 のっきーは他の人達と一緒に、仮合利明から何かしら指示を受けている。それを聞く横顔は、なんとなくぼんやりしているように見えた。
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