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涼真が取り出した…黒い塊…
…否。
彼がそれの頼りない紐の部分を摘み、はらりと広げるとまだ昼間だというのにドキンと胸が鳴った。
「それ…」
涼真は唇を若干への字にして顔を赤らめている。
「…分かる?郁弥」
「わ…分かる…。けど…それは現実なの?俺の妄想じゃなくて?」
「本当に?妄想…してくれてた?」
涼真は自分の体に重ね、まるで試着しているかのよう。
その光景は俺が脳内で勝手に作り上げた幻と、とてもよく似ていた。
涼真の手には女性ものと思しき肌着…
…黒い、レースの…
セクシーなそれは肩の細いストラップに丈の短い布地。
黒いフリルに黒いリボンが付いていて、妄想の涼真が身に付けていたものと、本当によく似ていた。
「見たい、着て見せて!そうしたら思い出すかも。あっ…!」
ヤバい!
つい、とんでもない事を言ってしまった!
男の涼真に着て欲しいなんて。
こんな事言われたら普通は嫌われる!
「あ…、その……違うんだ!」
突き出した手を振り、慌てて否定しようとしてアルバムが手から離れた。
音を立てて落ちるそれを拾い上げ、涼真は俺に向けて真っ直ぐに視線を寄越す。
「うん、…いいよ。見て、郁弥」
手にしていたそれらをベッドに置き、背を向ける涼真。
シャツの裾を掴み両腕を上げて一気に服を脱ぎ床に散らす。
次いでジーンズのボタンを外し、それも無造作に床に落とした。
紺のボクサー一枚の涼真は筋肉と薄い皮膚に体を覆われ肩胛骨が艶めかしく突き出し、女性とは程遠い体つきをしている。
「…あ…この身体…」
…知ってる。
…そう、この背中も。
これは俺が妄想の中で見た姿に間違いなかった。
白く滑らかな肌に黒が滴る。
余程生地が薄いのだろう。
身体の輪郭がハッキリと見て取れた。
やっと尻が隠れる位の丈の長さでレースがひらひらと揺れている。
涼真はボクサーに手を掛けこちらに背中を向けたまま体を深く曲げてからそれを脱ぎ捨て、代わりに紙袋の中から小さな黒い布を取り出し足を通す。
尻の谷間に黒い紐。
これは…Tバック…。
たいして肉の無い尻に…それでもくい込んでいて…いつの間にか穴が空くほど見つめてしまっている俺。
脈がどんどん早く力強くなって、興奮していくのを実感した。
「ね…こっち向いて、涼真…」
早く見たい、…正面から。
きっと俺が見た幻が、そこに…立ってる。
涼真は背中越しに俺を見遣り、それからゆっくりと振り向いた。
短い裾を両手で下に伸ばすように恥じらって。
「涼真…りょうま…」
無意識に涼真を呼んだ。
「郁弥…俺の事…」
「分かる、分かるよ。間違いない」
体を起こしてベッドに近寄ってきた涼真をキツく抱き締める。
「そうだ…この感触…」
薄い布地を纏う薄い体…。
「…俺の…」
胸に顔を押し付けて、匂いを存分に嗅いだ。
ああ、涼真の匂い。
「…嬉しい…。また、抱き締めていいんだ…」
「うん、俺も嬉しい」
腕を引き寄せて俺を見下ろす涼真の唇に…唇で触れた。
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