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「とと~朝~~!」
「ぐえっ」
目覚めとは思えない、胸への重み…。
真咲が布団の上から俺に跨ってぎゅうっと抱きついていた。
「真咲もう起きた?何時…」
目を擦りながら枕元に置いた携帯を手探りで探したが見つけるよりも真咲が早かった。
「10じは~ん!」
「ええ!もうそんな時間なの?」
「パパがご飯食べようって」
「悪い、今すぐ作るからちょっとだけ待ってて」
真咲を抱き降ろし、パジャマのままスリッパをつっかけて台所に急ぐ。
…しまった、寝過ごした…。
「悪い、涼真。今すぐ飯の準備……」
「今日ぐらい休めよ。ほら」
エプロンを装着しコンロの前に立つ涼真から受け取った一皿。
「これ…涼真が…?」
「ゴメン!俺これくらいしか出来なくて…」
俺に向き合って肩を竦めて両手を合わせる涼真から受け取った皿には目玉焼きとウィンナーとベーコンが乗っかっている。
「ありがとう!美味そうじゃん」
丁度いい焼き具合はやや通り越しているが、慣れないバーベキューで炭寄りのブツになるよりは はるかにいい焼き具合。
「郁弥が作ってくれるようにはいかなかったんだけど…食べてよ…」
「食べる!真咲、食べよう」
「うん。パンは焼いておいたよ」
真咲にトーストを差し出され、こっちは抜群のキツネ色。
教えた甲斐があったぜ。
真咲が焼いたトーストに涼真がソテーした目玉焼き、ウィンナー、ベーコンを挟んで大口でパクリ。
「う…美味い!」
「そうか~」
「練習してよかったね」
「こら、真咲。内緒って言っただろ!」
「へへッ」
照れる涼真とおどける真咲。
…そうか、練習してくれてたのか。
料理は苦手だからと敬遠していた涼真。
一緒に住み始めてから台所に立つ姿は見ていなかった。
大方おれの出張に合わせて練習していたんだろう。
家事の分担はざっくりいうと俺が料理と洗濯物関係、涼真は掃除、真咲は片付けと料理の手伝い。
家事が苦手な涼真でも休日の掃除ならゆっくり時間をかけて出来る。
そう、時間に追われる毎日の家事とそのプレッシャーが慣れない育児を始めた涼真をパニックに陥れたんだ。
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