想い出が褪せる頃

57/160
473人が本棚に入れています
本棚に追加
/160ページ
「あ…んんッ…ぁ…」 俺がする、と言って涼真が俺の腰あたりに膝立ちになるのだが… 面白いくらい腰が降りてこない。 顎が上がっていて涼真の表情はよく見えないが…声が漏れているし、きっと気持ちがいいのだろう。 そんな様子で焦らされている俺は一層興奮してガチガチに大きくなっている自覚がある。 「涼真がしてくれるんじゃ…なかったの?」 「う…うるさい…ンン…」 昨晩あんなにしたのに、…いや、さっきだって俺を受け入れられるように たっくさん指で広げたのに。 「な…なんか変なトコに当たって…ぁン…」 そういえば…夜もなかなか腰を沈めてくれなかった。 「もしかして…この体位だと…イイトコロに当たるの?」 「わ…分かんない…ぃ…!」 昨日と同じようにゆるゆるとナマ殺し状態。 これは…アレだ。 俺が手を貸してあげないといけない状況…。 うん、そうだ。 「涼真…」 呼びかけて、涼真のウエストに掛けた手を下に引いた。 「あッ…はッ…ンン…!」 バチンと音がして涼真の体が硬直したまま仰け反る。 「そ…んなに、気持ちいんだ…」 俺の胸に散る若干の白濁。 見なくたってわかる、自分顔がキモイ位にニヤけてるのが…。 一回全部入ってしまえば涼真だって気持ちよくてじっとしていられずにモゾモゾ上下に動き出す。 「あ…ダメ…イッちゃう…ぅ…」 己の昂りを掴み、快感を堪えて唇が歪む。 …いいのに… …何度でも気持ち良くなって欲しい…。 「ほら、イけよ。涼真」 掴んだ腰を離さず打ち下ろし、同時に下からも突き上げた。 「や…だ。俺ばっか…郁弥も…俺でいっぱいイッて!」 …いいんだよ、俺は。 今まで我慢させてた分、涼真に気持ちよくなって欲しいんだ。 「あ…あぁ…」 俺の上で拙く腰を振る涼真。 …イイ… …すっげーイイ…。 枕に半分体を預け、下から見上げる贅沢。 「いく…ぁ…気持ち…い…?」 「…ん…上手。気持ちい…」 身体が上下して、昂る涼真もふるふると揺れて… 善がりながら髪を乱す。 「キス…しよ?」 そう言えば上半身を前に倒して降りてくる頭を両手で包み、唇を合わせる。 「…ン…ぁあ……」 頭から肩、脇腹を辿り腰骨を掴んだ。 薄い体。 親指でグリッと強く腰骨を抉った。 「あ…!ンン…」 強い刺激で反射的に涼真の身体が反りあがった。 細い喉が顕になって…俺は体勢を入れ替えて涼真を組み敷いた。 「なんか…もう…ダメ…」 ゴメン…と小さく呟いて涼真の脚を折り畳み上から下に体重を掛け、深い所まで穿く。 「…あぁ…!…ン…!」 脚を押さえつけてだんだんと激しく腰を動かせば、それに合わせるかのように涼真の身体も応えて動き出した。 「あ…あ…ぁン…!」 「涼真…イイ…?俺と…一緒に…」 「郁弥…ん…いいから…も…」 飛び散る汗も気にせずスピードをあげ、快感を共有する悦び。 「あ…、あぁ…!」 「んッ…!」 涼真の身体が強ばり、締め付けられた勢いで俺も胎でイッた。 「…イッちゃった…」 「…うん…」 「ありがとう。…もう充分気持ちよかったから…さ…」 涼真の汗ばんだ指が俺の頬を撫でる。 「…明日真咲が帰ってくるまでに部屋を片付けて、美味しい夕飯作って待ってようよ」 「…そうだな…」 恋人から父親の顔…。 すこし気怠げな涼真はいつものように俺に笑いかけた。
/160ページ

最初のコメントを投稿しよう!