想い出が褪せる頃

涼真が悲しい顔をしているのは声だけを聞いていても簡単に想像がつく。

胸が…痛い。

それはきっと俺なんかよりも涼真の胸。

「本当に…俺の大切な家族なんだ…。将来事実を知って傷つけるかもって分かってても…一緒に暮らしたかったんだ」

真咲も涼真も辛い思いをしている。

身を寄せ合ってささやかに暮らしているだけなのに、なぜこうも苦しまなくちゃならないんだ。

そう思う一方で、これまでの幸せな時間があるから…きっと時間がかかっても二人の心は必ず癒えることが出来るはず、とも思う。

「涼真は間違ってない…大丈夫。な、今だけでも俺に体を預けて」
「…郁弥…」

服の上から頬ずりする。

…愛しい…
…優しくて、強い涼真。

「ちょっと郁弥…ぁ、ン」

涼真の細い腰骨を掴むと涼真は敏感にそれに反応する。

振り返る肩越しに俺と目が合った涼真は泣いたせいで赤くなった目元と不安げな顔。

…ダメ…
放っとけない。

「今だけ。少しでも…忘れさせてあげる」

ベッドに横たわる涼真の身体に俺の体を重ね、顎を掬った。

至近距離で瞳の奥を覗き込めば悲しみに染まった涼真の心の奥が見えた気がする。

俺は黙って唇を涼真のそれに押し当てた。

柔く食むとゆっくり瞼が閉じて、俺は許されたのだ…と思った。

片手で髪をまぜながら口腔内はただ優しくあやす様に舌で辿る。

「…もっと…強く…して…」

息継ぎの合間の一言が俺を求めてくれるから嬉しくって…頼ってもらえてるって背中がゾクゾク震えた。

「優しくするから…俺の腕の中で…泣いて？」

涼真は少しビックリしたようだったけど、それに応えるように目を閉じた。

片腕は涼真の頭を優しく抱え、反対側はシャツの下にそっと滑り込ませた。

白い首筋に顔を埋め耳の後ろに舌を這わす。

「…ん…」

小さいが色味を含んだ涼真の声。

そのまま耳の中に舌先を侵入させると涼真の身体が強ばった。

「お…とが…ぁ…」

グジュッという水音がする度に涼真の目は固く閉じ身体が小さく震える。

腹筋や脇腹をまさぐっていた指はたどり着いた胸の飾りを捏ね、ギュッと押し潰した。

「ぁ…あ…ン…」

薄らと頬が赤く染まり、俺は涼真のスイッチを入れたのだと思った。

「どうして欲しい…？」
「…触って…欲しい…」
「どこ…？」
「…どこでも…いっぱい…」

俺は身体を起こして涼真のスボンに手を掛け下着ごと引き抜いた。

ふるんと飛び出す涼真の熱い欲望。

「…勃ってる…。期待してる？」
「い…くやだって…」

涼真の視線は存在を主張する俺の股間を凝視している。

「ねぇ…俺の…脱がしてよ」

膝立ちで涼真の目の前に下半身を突き出した。

「俺…が…？分かった…」

涼真の指先が躊躇いながらもジーンズのホックを外し、スライダーを下ろしていく。

前立てをゆっくりと開いていくと期待に満ちた昂りがジーンズの窮屈さから解放されて下着ごとズボンから勢いよく隆起するように現われた。

「こんな…に…」

涼真の喉が上下に動く。

「下着も…涼真…」

ゴムに指を掛け下着を下げられると俺の俺が勢いよく飛び出した。

「大きい…」

煽るようにそう言うと涼真の手が俺を掴み唇がその先端に近づいた。