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奪われた日
その日は絵に描いたような晴天だった。私……ライは親友のリリーと村を歩いてた。私たちが住んでいる村はとても小さくて……みんな家族みたいに暮らしてた。
「ライ!次は森の奥の方に行ってみようよ!」
「えー……でも村長たちがあまり奥に行っちゃダメって言ってるじゃん」
「少しならバレないって!ほらほら行こ!」
そう言ってリリーは私の手を引っ張って森の奥に進んだ。村であんな事が起きているなんて知らずに……
「わぁ……ねぇライみてみて!いい眺めだよ!」
「ちょっとリリー……もう村に帰ろうよ」
「もう少しだけ!ほらライも登っておいでよ!」
「私木登りとかしたことないんだけど…」
「なんとかなるって!ほら!」
「もう……リリーは仕方ないなぁ……」そんな事を言いながら私は木に登った。そこには自然の景色が目の前に広がっていた。私は小さく「凄い……」と呟けばリリーはにこりと笑い「でしょ!」と告げた。
暫くリリーと木の上で話していれば村の方から騒ぎ声が聞こえた。リリーは「なんだろう……ライ……」と少し不安そうに見てきた。私は「……大丈夫。とりあえず村に戻ろう」と告げて木から降りた。リリーも「うん」と短く返事をして木から降りて私たち2人は村へ走った。
村へ戻るとそこは……血の海だった。私とリリーは顔を見合せ小さく頷き、私は村長の所に、リリーは自分の家へ走った。嫌だ嫌だ嫌だ!村長っ……お願い無事で居て!そう考えながら私は走った。走って走ってやっと村長の家に着いた。
「村長っ……!」
「っ……げほっ……ライ……か?」
「(まだ生きてる……!)村長!そうだよっ……誰がこんなこと……」
「ライ……逃げろっ……今すぐ村から……」
「村長っ……ねぇ……?嘘つきっ……約束したじゃないっ……1人にしないって……!」私は大粒の涙を流していればリリーが「ライ!村長は!?」と汗をかきながら問いかけた。私は緩く首を横に降ったあとリリーは私の手を取った。「とにかく……村から出ようっ……早く逃げなきゃ……」とリリーが告げて私は立ち上がった。「そう……だね早く逃げよ……」そう言って私たちは走り出した。
走っていると一人の男がリリーの手を引っ張り「なんだぁ?まだ生き残りがいたのか」と笑いながら言った。リリーは全て悟ったのか私の背中を押して「ライ!逃げて!早く!」と叫んだ。私は首を振り「いやだ……リリーっ……!」と手を伸ばしたが男の方が早かった。リリーは目の前で……刺された。頬にまでリリーの血が飛んで私は動けずにいた。「お前で最後だなぁ?」と男の手が伸びてきた。私はリリーを見たあとキッと相手を睨みつけ、弾かれたように走り出し街を目指した。足には自信があった。捕まらない自信があった。私は涙を流しながら走って走って走って。街の方角へ向かった。 その日私は家族と……親友を奪われた。
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