信号機5

1/1
前へ
/8ページ
次へ

信号機5

そんなんでも、今でもたまに側にいてくれるだけでいいと思ってしまうのは、やっぱりあの子のことが大切だから。 そう、だからいいんだよ。 勝手に惚気話でもなんでもしてよ。 私の知らない男の話、一緒にどこに行っただとか、ふたりで何をしただとか、自由に話せばいいよからさ。 そのたびに「寂しいな」って思っても。 そのうち私だって、あの子みたいに全然平気になっちゃうのかもしれないし。 哀しくなんてない、しんどくなんてない、寂しいなんてもう感じない、って。 そんな風に、なる日が来るって。 二人とも別々のとこだったけど、高校にあがってからあの子がはじめて付き合った男の子。その彼氏を紹介された時に、私、思わず「殺された」と思った。 中学の時の、あの子の彼氏たちとは違ったから。 中学の時は、あの子は男より私を優先してくれていたけれど、もう違ったから。 一番大好きな男の子なんだな、一番大好きな人なんだな、ってわかったから。 私のこと、もう大丈夫になったと思ったのかもしれない。 高校生にもなれば、私にもあの子以外に「すき」って言ってくれる人なんてすぐに表れて、平気になるだろうって思ったのかもしれない。 残念。 私はね、全然ダメだったよ。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

30人が本棚に入れています
本棚に追加