「別れ話みたいだと思った」

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「別れ話みたいだと思った」

私たちは幼馴染だった。 私の方が年は一個上で、先に卒業するねって言う時期も近くなってきた頃になると、何故だか幼馴染のそいつは放課後私の前に現れた。 家がお向かいさんで、小学校の頃に引っ越して来た幼馴染の両親とうちの両親は仲が良くなって、家族ぐるみのお付き合いって言うそんな感じで、小学生の頃はよく家に遊びに行っていた。 幼馴染のこいつが私に教えてくれたもの。 週刊少年ジャンプ。 ファイナルファンタジー。 ドラゴンクエスト。 夜に両親たちが四人でカラオケや飲みに出かけた時に子供たちだけで作って食べる、塩ラーメンに卵と冷や飯をぶちこんで煮込んだ美味しい夜食。 それから、多分よくわかんない切ない気持ちと、初めて好きになった男の子の吸う煙草の銘柄。 いつまでも不味いのに。 私はたまに、それを吸った。 そんだけの、話。
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