18人が本棚に入れています
本棚に追加
「別れ話みたいだと思った」
そんなことが、今くらいの季節にあったなーなんて、ふと思い出した、高校三年生の冬だった。
私には年上の彼氏が出来て、ろくに学校に行かなくなっていた。
そんな中、たまたま登校した日の放課後、本当にしばらくぶりにこいつが私のところにやって来て、一緒に帰ろうと言って来た。
だから、あの日のことをなんとなく懐かしいなって、思い出したのかもしれない。
「煙草なくなった」
そんなの覚えてるわけないよな、と思ったけど言ってみた。
「そ」
幼馴染はそれだけ答えるとこっちを見もしなかった。
「持ってない?」
そう聞けば、ん、と箱を制服のズボンから出してこちらに傾けてくれる。
「そっか」
それだけ答えて、私は差し出された箱から煙草を一本もらうと、100円ライターで火をつける。
最初のコメントを投稿しよう!