「別れ話みたいだと思った」

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「別れ話みたいだと思った」

煙草の灰が落ちて、それが風で空中をちらちらと舞う。 ちゃんと消せよ、とこいつがコーヒーの空き缶を手渡してくる。 変にマメだよなあと思いつつ、ありがたくその空き缶を受け取る。 そして、あの時と同じ場所で同じように肩を寄せあっているのに、もう私たちはあの頃よりもだいぶ遠くへ来てしまったんだな、なんて感じてしまって、感傷に浸るのなんてバカみたいだと思いながら、まだ半分は残っていた煙草を缶の飲み口にほおり込む。 「なんか買って帰ろー」 「そうだね」 俺腹減ったわ、と幼馴染が腕を空へと向けて伸びをする。 独り言なのか、私も一緒にこいつの家に誘われているのか、どちらともとれる言葉に曖昧な相槌を打つ。 寒くなってきたし、どっちだとしても私もとりあえずコンビニ寄ってなんか買って帰ろう。 そう思って、こいつの隣を歩き出した。 背が高くなっていた。 肩幅もごつくなった気がする。 髪型だって変わっているし、雑に背負った学校の指定じゃないカバンも見慣れない。 なんだか、何もかもが、違ってしまった。
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